1、エアサイクルの特徴
他の断熱工法との違い

 

住宅の断熱方法には大きく2つの種類があります。具体的には「充てん断熱」と「外張り断熱」です。エアサイクル工法は後者の「外張り断熱」であり、「外張り断熱」+「α」の機能を持っています。
それぞれの断熱方法の違いを比較してみましょう。

1.「充てん断熱」(じゅうてんだんねつ)の場合

「充てん断熱」とは家の構造体である壁の中の柱や土台・梁などの間にグラスウールなどわた状の断熱材をはめ込み密閉する断熱方法で、現在ごく一般的に大多数の住宅がこの断熱方法を採用しています。
充てん断熱イメージ 充てん断熱施工例

しかし、この場合、柱・土台・梁の構造体は無断熱となり熱の逃げ道ができてしまいます。必ずと言っていいほどすき間も生じます。住宅の壁の中は土台や柱・梁以外にも間柱・筋違い・金物・電線・配管などがあり結構にぎやかです。それをよけたり、切欠きながら断熱材をはめ込んでいくわけですから、必ずすき間が生じます。


断熱不良によるすき間

そうなると壁の中の構造体と断熱部分との間で温度差が生じ結露が発生します。 真冬の寒い時期に室内で暖房機器を使うと窓に水滴が発生します。 これが結露です。 

壁の中でもこの結露が発生しているのです。「充てん断熱」の場合、密閉された壁の中では結露による湿気や水分の逃げ場がなくなりグラスウールや木材に水滴が付着します。グラスウールは水分を含むと断熱効果が格段に低下し、カビやダニなどの格好のすみかにもなります。木材の場合、構造体である大切な土台や柱を腐らせたりシロアリの被害にあう可能性も高くなるのです。

結露は恐ろしい カビ ダニ

2.「外張り断熱」(そとばりだんねつ)の場合

「外張り断熱」(外断熱とも言います)とは家の構造体である柱や土台・梁などの外側(外壁側)に断熱材を貼り付ける断熱方法を言います。
構造体の外側に断熱材があるので土台や柱・梁などを含め家全体がクーラーボックスの様に断熱材ですっぽりと覆われる状態になります。

 
外張り断熱イメージ

断熱材が構造体の外側にあることによって、柱や土台・梁などから熱が逃げず隙間もほとんどできないので、「充てん断熱」にくらべて、より外部からの暑さ・寒さを防ぎ、室内の冷暖房効率を向上させることのできる断熱工法と言えます。 
将来的に住宅にとっては理想と言える断熱工法の一つです


外張り断熱と充てん断熱のちがい

しかしながら、通常の「外張り断熱」の場合、土台・柱・梁で囲まれた空間が密閉されてしまい、特にサッシなどの窓下部分などでは湿気が溜まりやすくなってしまいます。

「外張り断熱+α」の機能を持つエアサイクル工法はこの問題を解決してくれるのです。

3.エアサイクル工法「外張り断熱+α」の場合

「充てん断熱」と「外張り断熱」の違いはわかっていただけたと思います。
エアサイクル工法は外張り断熱工法ですが、「+α」の機能が備わっています。

一般に「充てん断熱」と「外張り断熱」は断熱、すなわち熱気や冷気を遮断したり室内の温度を保温することしか考えていません。しかも、この二つの断熱方法の場合、躯体内(壁の中)はほぼ密閉状態です。
これではいくら断熱性能が高くても躯体内の結露による湿気や水分の逃げ場はなくなり、カビやダニの発生を促進してしまいます。また、土台や柱などの構造体を傷めてしまうことになり、建物の寿命自体も縮めてしまいます。そして、室内では各部屋で必ず温度差が発生してしまうので、お年を召した方などはヒートショックを起こしてしまうこともあるのです。


ヒートショック

一般に「充てん断熱」と「外張り断熱」は床下空間・壁内空間・屋根裏空間を個々に断熱し、それぞれの空間が連通していません。

エアサイクル工法は断熱材に特殊な細工がほどこされていて、他の断熱工法にはない床下・壁・屋根裏とを空気が連通する機能を持っています。
空気は暖まると上に上り、冷えると下へ下る性質があります。
エアサイクル工法はこの原理を応用して床下・壁内・屋根裏を連通させ、空気を循環させるしくみになっているのです。 
これが「エアサイクル層」です。


エアサイクル層

この「エアサイクル層」は床下・屋根裏それぞれに設置される専用の換気口を開閉させることにより季節の変化に応じてその機能を変化させる機能を持っています。
これが「+α」の機能なのです。

夏の「エアサイクル層」は床下の換気口から新鮮な外気を取り入れ、床下→壁内→屋根裏という順番で空気を送り込み屋根裏の換気口から熱く湿った空気を排出し躯体内の温度・湿度上昇を押えて家の中を涼しくします。

夏のエアサイクル 昼 夏のエアサイクル 夜

冬の「エアサイクル層」は床下・屋根裏の換気口を閉じ、昼間の暖かい太陽の熱を躯体内に閉じ込めて家の中を暖かく保ちます。

冬のエアサイクル 昼 冬のエアサイクル 夜

この「エアサイクル層」は床下・壁内・屋根裏などの空間で常に空気が動いているので結露や温度差をなくしカビやダニの発生を抑えてアトピーやぜんそくなどのアレルギーやヒートショックによる事故を防止します。
また、動く空気によって躯体内を常に乾燥状態に保ってくれるので大切な土台や柱を腐朽やシロアリから守ってくれるのです。

エアサイクル工法の家は「外張り断熱+α」の機能で自然のちからを利用したパッシブソーラーハウスと言えます。